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感謝は「脳」にどのような影響を与えるか -感謝と神経伝達物質

感謝は、私たちのウェルビーイングに良い影響を与えることが、様々な研究から指摘されています。

私たちが感謝し、感謝されるとき、私たちの脳内ではどのようなことが起こっているのでしょうか?

※本記事は、スマホアプリ NEC Thanks Card に掲載した内容を転載しています。2024年5月から6月にかけて、アプリ用に執筆した記事で毎日更新しています。


感謝で活性化される脳内物質

私たちが、感謝の気持ちを示し、また感謝を受け取るときには、脳内では神経伝達物質であるセロトニンドーパミンオキシトシンなどが分泌されることが分かっています。それぞれどのような神経伝達物質なのでしょうか?

セロトニン

心のバランスを整える作用のあるホルモンとされ、感情や気分のコントロール、精神の安定に深くかかわっている。

セロトニンが低下すると、攻撃性が高まったり、不安やうつ、パニック障害などの精神症状を引き起こすとされる。

ドーパミン

心地よさ・気持ちよさに関連するホルモンで、脳内報酬系の活性化において中心的な役割を担う。

私たちのやる気や集中力、幸福感などを生み出すとされる。一方で、薬物やギャンブルなどの依存症の原因にもなると言われている。

オキシトシン

他者を優しくしたり、思いやりを感じると分泌されるホルモンで、愛情ホルモンとも呼ばれる。温かい気持ちを生み出し、ストレスを抑えたり、自律神経を整えたり、免疫力などを向上させる効果がある。

また食欲抑制や脂肪燃焼にも関連するとされ、健康や美容などの観点からも注目されている。


感謝し、感謝されることは、これらの神経伝達物質が分泌されることを介して、幸福感を感じたり、精神的に安定したり、痛みを和らげたりする効果をもたらします。また、ストレスホルモンとして知られるコルチゾールが減少させる効果も報告されています。

習慣的に感謝することで脳の構造が変化する

感謝を日常的に継続していくことで、脳の構造にも影響を与えることが分かっています。

私たちの脳は、繰り返し機能する脳の部位や神経回路は強化されていくようになっています。

したがって、毎日意識的に感謝を繰り返していくうちに、感謝を感じる脳の神経経路や上記のような神経伝達物質を分泌する部位はどんどん強化されいきます。そうすると、私たちは感謝をより感じやすくなり、感謝による良い影響も得やすくなります。

逆に、悪い結果を心配しすぎる人は、無意識のうちに脳を再配線し、ネガティブな情報ばかりを処理してしまうことも報告されています。

感謝することを意識的に実践することで、ポジティブな感情や思考に集中できるように脳が訓練され、不安や恐れを軽減することにもつながります。

繰り返し、継続的に感謝をしてみましょう

日々感謝をすることは、なかなか難しく、大変に感じる人もいるかもしれません。でも大丈夫です。

どんなに些細なことでも良いので、意識的に感謝を記録してみてください。あいさつしてくれたこと、食事が美味しかったこと、今日も健康だったこと、天気が良かったこと、誰かにしてもらったことだけではなく、自分自身のことや世界のことでも大丈夫です。

これを繰り返していくうちに、感謝を発見し、感じやすいように脳は日々強化されていきます。みなさんが感謝を通じて、健康でポジティブな気持ちがあふれることを願っています。

(筆者:菅原)

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