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【論文紹介】感謝は睡眠に良い!? -感謝の感じやすさと睡眠の質

感謝は、私たちの健康に良い影響を与えることが、様々な研究から示されています。

今回は、そんな中から「感謝と睡眠」に関する研究についてご紹介します。

※本記事は、スマホアプリ NEC Thanks Card に掲載した内容を転載しています。2024年5月から6月にかけて、アプリ用に執筆した記事で毎日更新しています。

心理学では、個人のパーソナリティ特性が睡眠の質に影響することが明らかにされていました。たとえば、神経症傾向は睡眠の質に対する負の予測因子になっており、ストレス、抑うつ、不安、怒りが睡眠の質を低下させることが報告されています。

では、感謝が睡眠に与える影響はあるのでしょうか?

ポジティブ心理学では、感謝は主要なポジティブ感情とされています。感謝は、私たちの健康や幸福に寄与する可能性が示されており、睡眠に対してもポジティブな影響をもつ可能性があります。今回は、パーソナリティ特性に加えて、感謝が睡眠に与える影響を検証した研究を見てみましょう。

調査内容

こちら研究は、イギリス在住の就業者401名を対象としたアンケート調査から検証されています。調査内容としては、特性感謝、睡眠の質、睡眠前の認知、ビッグファイブ性格特性が測定されました。

表. アンケート項目

感謝を抱きやすさは、睡眠に良い影響を与える

アンケート調査の結果、特性感謝(GQ-6)と睡眠の質(PSQI)には、負の相関が見られました。睡眠の質(PSQI)はスコアが高いほど睡眠障害レベルが高いことを示すので、感謝を抱きやすい人ほど睡眠の質が良い傾向にあることが分かりました。

また特性感謝は、ビッグファイブ性格特性のうち、外向性、協調性、誠実性と正の相関があり、神経症傾向とは負の相関がありました。感謝がこれらの性格特性に影響して睡眠と関係する可能性があるため、これ以降の検証では、ビッグファイブ性格特性の影響を排除した分析が行われています。

次に、感謝が睡眠に与える影響を与えているか因果関係を検証するために、重回帰分析を行っています。その結果、特性感謝は睡眠の総スコアを統計的に有意に予測しました。つまり、感謝を抱きやすいことが、睡眠の質を改善することが示唆されました。

睡眠前の認知が改善される

では、感謝の抱きやすさはどのようにして睡眠を改善するのでしょうか?

感謝と睡眠の関係には、睡眠前の認知が関係している可能性が考えられます。睡眠前の認知とは、人が睡眠直前に抱く思考のことで、否定的な睡眠前の認知は睡眠障害の前兆とされており、逆に肯定的な睡眠前の認知は睡眠を改善することが報告されています。

この研究では、特性感謝(感謝の抱きやすさ)が睡眠前の認知に影響して、睡眠の質を改善するという仮説を検証しています。検証の結果、以下のように特性感謝は肯定的/否定的な睡眠前の認知を媒介して、睡眠の質の総スコアを改善することが示されました。

つまり、感謝を抱きやすいことは、睡眠前のネガティブな思考を減らし、ポジティブな思考を増やすことを通じて、より質の高い睡眠を誘導することが示されました。

図.感謝と睡眠の質に関する睡眠前認知の影響

まとめ


感謝が、私たちの身体や精神に良い影響を与えることを示す研究が増えてきています。今回は、感謝と睡眠の関係に着目した研究をご紹介しました。

筆者も、たまに悩み事や不安を抱えたままベッドに入ると、悶々と考えしまって眠れないことがあります。そんなときには、羊を数えるよりも、感謝を数えることでよく眠れるかもしれません。

また特性感謝(感謝の抱きやすさ)は、日々感謝をする習慣をすることで向上する可能性があります。感謝することを意識して、より質の良い睡眠を目指してみてください。

(筆者:菅原)

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参考文献

  • Wood, A. M., Joseph, S., Lloyd, J., & Atkins, S. (2009). Gratitude influences sleep through the mechanism of pre-sleep cognitions. Journal of psychosomatic research, 66(1), 43-48.


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