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ウェルビーイング研究

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ウェルビーイングに関連した研究の研究者による解説記事を集めています。ウェルビーイングをもう少し詳しく知りたい人に向けて、毎週金曜日に更新・追加していきます。
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#心理学

ダイバーシティとインクルージョン -組織においてダイバーシティとインクルージョンを実現するための研究知見

近年、職場における「ダイバーシティ(多様性)」や「インクルージョン(包括性)」という言葉を耳にする機会が増えています。これらは、ダイバーシティ&インクルージョンを略して「D&I」や、公正性(Equity)を含めた「DEI」と呼ばれ、企業を中心にさまざまな場面で推進されています。 ダイバーシティやインクルージョンの重要性は、新たなアイデアや価値を生み出すためのイノベーションの観点や、労働力不足における多様な人材の活躍などを背景に語られています。持続的な開発目標であるSGDsの

遺伝子と私たちのウェルビーイング | 遺伝子がウェルビーイングを決定付けるのか?

私たちが生まれてくるとき、父親と母親から遺伝子がそれぞれ半分ずつもらい、新しい遺伝子の組み合わせをもって誕生します。顔や体格などが親子で似ることは経験的に分かりますが、私たちの性格やウェルビーイングに遺伝子はどのような影響を及ぼすのでしょうか? 本記事では、「Well-being Science and Policy」という書籍の情報を中心に、私たちの遺伝子とウェルビーイングの関係性についてご紹介します。 <本記事のポイント> 双子や養子の研究から、遺伝子が私たちのウェ

【基礎知識】心理学におけるウェルビーイング|主観的ウェルビーイングと心理的ウェルビーイングの定義と成り立ち

幸福の意味でのウェルビーイングやハピネスの研究は、ギリシャ哲学におけるアリストテレスの最高善にその起源があります。 心理学研究は1960年代から始まり、Wilson(1967)は数多くの文献をレビューし、「幸福な人は、若く、健康で、高学歴で、高収入で、外向的で、楽観的で、心配がなく、宗教的で、結婚していて、自尊心が高く、仕事ができる人である。」と結論付けました。しかし、1980年代中頃までの2000年間、理論的にはほとんど進歩していませんでした(Diener, 1984)。

ウェルビーイングとはいったい何なのか?注目される背景と意味に迫る

現在、政府や企業などさまざまな場面で「Well-being (ウェルビーイング)」が注目されつつあります。Well-being(ウェルビーイング)とは、Well(良い、善い)とBeing(状態、あり方)が組み合わされた言葉で、「よい状態」「よいあり方」を意味します。ウェルビーイングは「健康」「幸福」「福祉」などと訳されることも多く、意味を捉えにくくなっています。 今回は、ウェルビーイングの意味や注目される背景、学術的な理論などをご紹介します。 ウェルビーイングが注目される