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ウェルビーイング研究

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ウェルビーイングに関連した研究の研究者による解説記事を集めています。ウェルビーイングをもう少し詳しく知りたい人に向けて、毎週金曜日に更新・追加していきます。
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#文化

【世界の感謝】ペルシアと感謝−母語による感謝表現の違い

同じ仕草であっても所属する文化が異なると、受け取り方が異なります。そのため、良かれと考えて行った行為が、まったく逆の意味に受け取られることがあります。だから、よりよいコミュニケーションのためには、相手の文化を知ることはとても重要です。 母語は文化に影響されるため、母語が異なると背景文化も大きく異なります。文化が異なると、感謝の表現の仕方も異なることは、外国人とコミュニケーションしたことがある人なら分かるのではないでしょうか。 ペルシア文化圏のイランでは、ペルシア語と中国語

【世界の感謝】マレーシアと感謝−日本人とよく似たマレー人

「感謝の感じ方は文化によって異なる」という研究がいくつか報告されています。 個人主義文化と集団主義文化特に、西欧では感謝は健康やウェルビーイングに有益であるという結果が多いのに対し、東洋では他者に感謝を示すことが義務として捉えられるとウェルビーイングを低下させることがあります。これは、個人主義文化と集団主義文化の違い、あるいはローコンテキスト文化とハイコンテキスト文化の違いとしてよく説明されます。 西欧の個人主義文化では、個人を重視し、個人的意見もどんどん言うことが奨励さ

2023年のウェルビーイングに関する研究TOP10 | Greater Good Scinece Centerの発表

2023年は首相の所信表明演説において、「ウェルビーイング」が初めて言及されたことなど、日本国内においてウェルビーイングが大きく注目を集め始めた年と言えると思います。世界的に見ても、ウェルビーイングに関連する研究は増加傾向にあります。 では、この2023年のウェルビーイングに関する研究のなかで、どのような発見があったのでしょうか? ウェルビーイング関連の研究を行うカリフォルニア大学バークレー校のGreater Good Science Centerは、先日『The Top

【論文紹介】ウェルビーイングの文化差-人生満足度と協調的幸福感の国際比較

World Happiness Report 2023によれば、国別の幸福度ランキングで日本は137ヵ国中47位でした。毎年、日本は50位前後にランキングされており、先進国の中ではいつも低い位置にいます。これに対して、「測定項目が日本の文化に適していないのではないか?」という議論がよく行われています。これは、幸福の理想像が国や文化によって異なると考えられるのに対し、文化的な差異を考慮しない共通尺度でランキングが行われているためです。 これに対して、一言・内田(2015)は、