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ウェルビーイング研究

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ウェルビーイングに関連した研究の研究者による解説記事を集めています。ウェルビーイングをもう少し詳しく知りたい人に向けて、毎週金曜日に更新・追加していきます。
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#向社会行動

“かわいさ”は人にどのような影響をもたらすか

はじめに“電車で赤ちゃんと目があった時”や“スマートフォンで子猫の写真を見た時”など、かわいいものを見た時に思わず笑顔になったり、少し気分が良くなったという体験はありますか? そのような“かわいさ”に関する定義や体験について説明するベビースキーマ(baby schemaもしくはKindchenschema)と呼ばれる概念があります。今回はベビースキーマと幸福感の関係についてご紹介したいと思います。 ベビースキーマとは“かわいさ”に関する心理的研究は、ほとんどがベビースキーマ

【研究紹介】愛情ホルモン「オキシトシン」の効果 -オキシトシンと向社会行動・感謝・ウェルビーイングの関係

みなさんは「オキシトシン」という神経伝達物質をご存知でしょうか? オキシトシンは、相手とのスキンシップや思いやり、信頼の感情などと関連していることから、"愛情ホルモン" や "信頼ホルモン" などと呼ばれています。感謝の気持ちを示したり、感謝を受け取った際には、脳からオキシトシンが分泌されること報告されています。 今回は、オキシトシンの分泌が幸福感や感謝の気持ち、向社会的な行動にどのような関係があるかを検証した研究についてご紹介したいと思います。 ビデオを用いたオキシト

【基礎知識】畏敬の念 | 畏敬の念とウェルビーイングはどのように関係するか?

みなさんは、大海原に沈む夕日を眺めたとき、満天に輝く星空を見上げたとき、博物館で巨大な恐竜の化石を目の前にしたとき、歴史が刻まれた寺社仏閣や教会を訪れたとき、新しい生命の誕生の瞬間に立ち会ったとき、どのような感情が湧いてくるでしょうか? このような自然や宇宙、生命、芸術、建築など、広大で崇高な存在に対して、驚嘆し感銘を受ける感情は「畏敬の念 (Awe)」と呼ばれています。 近年、この畏敬の念に焦点を当てた研究は増加傾向にあります。そして、畏敬の念が、私たちの心理状態や行動

2023年のウェルビーイングに関する研究TOP10 | Greater Good Scinece Centerの発表

2023年は首相の所信表明演説において、「ウェルビーイング」が初めて言及されたことなど、日本国内においてウェルビーイングが大きく注目を集め始めた年と言えると思います。世界的に見ても、ウェルビーイングに関連する研究は増加傾向にあります。 では、この2023年のウェルビーイングに関する研究のなかで、どのような発見があったのでしょうか? ウェルビーイング関連の研究を行うカリフォルニア大学バークレー校のGreater Good Science Centerは、先日『The Top

World Happiness Reportから読み解く世界のウェルビーイング – COVID-19は私たちのウェルビーイングにどのように影響したか

World Happiness ReportとはWorld Happiness Report (世界幸福度報告) とは、国際連合の持続可能開発ソリューションネットワーク (Sustainable Develop Solution Network) が発行する幸福度調査のレポートです。レポートは2012年から毎年 (2014年を除く) 公開されており、世界各国のウェルビーイングを捉え、国家間で比較できるものとして広く知られています。 World Happiness Repor