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【世界の感謝】マレーシアと感謝−日本人とよく似たマレー人

「感謝の感じ方は文化によって異なる」という研究がいくつか報告されています。

※本記事は、スマホアプリ NEC Thanks Card に掲載した内容を転載しています。
2024年5月は、アプリ用の執筆済み記事で毎日更新しています。

個人主義文化と集団主義文化

特に、西欧では感謝は健康やウェルビーイングに有益であるという結果が多いのに対し、東洋では他者に感謝を示すことが義務として捉えられるとウェルビーイングを低下させることがあります。これは、個人主義文化集団主義文化の違い、あるいはローコンテキスト文化ハイコンテキスト文化の違いとしてよく説明されます。

西欧の個人主義文化では、個人を重視し、個人的意見もどんどん言うことが奨励されます。その結果、意見は異なることが当然となるため、「どんな意見でも言うべき」「言わなかったことは、無かったこと」というローコンテキスト文化になっていきます。そのような文化の中では、特段の負い目を感じることなく、感謝も純粋にポジティブに捉えられ、簡単に表明されます。

しかし、極東の集団主義文化では、集団の調和を重視し、意見の食い違いを避けようとします。結果、「言わなくても分かるよね?」という無言の圧力を感じ、「言わなかったこと=真実」というハイコンテキスト文化になっていきます。そのような文化の中では、「当然感謝しているよね?」「わざわざ感謝しなくても分かるよね?」という文脈によって、感謝は「迷惑をかけてしまった」という罪悪感や「お返しをしなければ」という義務感にすり替わりやすくなります。

そのため、多くの報告では、感謝の感度は、西欧の方が高く、極東の方が低いと言われています。しかしながら、マレーシアは、地理的・宗教的には個人主義文化と集団主義文化の交差点に位置しています。

では、マレーシアは、実際にはどちらの文化に近いのでしょうか?

感謝について、マレーシアと個人主義文化圏(イギリス、アメリカ)および集団主義文化圏(中国、日本)とを比較した研究(Noor, et al., 2018)があってので、今回は、これを紹介しようと思います。

マレーシアでの感謝研究

Noorらの研究(2018)は、特性感謝尺度GQ-6のスコアを国際間比較をすることで、実施されました。

比較対象には、先行研究でGQ-6の調査が行われたアメリカ、イギリス、中国、日本が選ばれました。研究者たちは、地理的・宗教的な観点から、アメリカとイギリスは個人主義文化圏に、中国と日本を集団主義文化圏に相当するとし、マレーシアも地理的・宗教的に集団主義文化圏に属すると考えました(図1)。

図1.感謝の感度の文化的カテゴリーの仮説

マレーシアは、マレー系54.7%、中国系23.2%、インド系7.0%、先住民族14.1%、その他1.0%(マレーシア統計局2016-2017)の人々で構成される多民族・多文化・多宗教国家です。マレー文化を比較することが目的なので、研究者たちは調査対象者をマレー人に限定しました。マレー人の大学生177名に対して調査が行われました。

マレーシアは文化的に日本に近い

調査の結果、GQ-6のスコアは、アメリカ、イギリス、中国、マレーシア、日本の順に高く、マレーシアは、アメリカ、イギリス、中国と有意な差がありました。マレーシアと日本は、有意差が無く、よく似ているという結果でした。

図2.GQ-6スコアの国際間比較、スコアは1点~7点×6問の合計値

マレーシアと中国の間には有意差があり、マレーシアと日本の間には有意差が無かったことから、中国はマレーシアや日本とは異なり、個人主義文化圏に近いと言えそうです。つまり、仮説は間違っていて、以下のようなイメージになります(図3)。

図3.GQ-6の得点に基づく、文化圏の違い

まとめ

感謝で見ると、マレーシア(マレー人)は、日本とよく似た文化圏にいることが分かりました。逆に考えれば、アメリカ、イギリス、中国は、日本とは感謝の感じ方が異なることを示唆しています。

もし、同僚にアメリカ人やイギリス人、あるいは中国人がいた場合、感謝の仕方を変えないと伝わらないかもしれません。

筆者:山本

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参考文献

  1. Noor, N. M., Rahman, N. D. A., & Zahari, M. I. A. M. (2018). Gratitude, gratitude intervention and well-being in Malaysia. The Journal of Behavioral Science, 13(2), 1-18.


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