NECソリューションイノベータ株式会社
ウェルビーイングに関連した研究の研究者による解説記事を集めています。ウェルビーイングをもう少し詳しく知りたい人に向けて、毎週金曜日に更新・追加していきます。
感謝の研究に関する記事をまとめています。記事は、スマホアプリNEC Thanks Cardに掲載した内容を修正して転載したものです。
はじめに“電車で赤ちゃんと目があった時”や“スマートフォンで子猫の写真を見た時”など、かわいいものを見た時に思わず笑顔になったり、少し気分が良くなったという体験はありますか? そのような“かわいさ”に関する定義や体験について説明するベビースキーマ(baby schemaもしくはKindchenschema)と呼ばれる概念があります。今回はベビースキーマと幸福感の関係についてご紹介したいと思います。 ベビースキーマとは“かわいさ”に関する心理的研究は、ほとんどがベビースキーマ
みなさんは「Emotional Intelligence (EIまたはEQ, 感情知能) 」という概念をご存じでしょうか? EIとは、簡単に言えば「自分や他者の感情状態を認識し、上手く活用する能力」のことです。EIの概念自体は20~30年前から提唱され、欧米のビジネスシーンを中心に活用が進められていますが、ここ数年でEIはさらに注目を集めています。 EIは、私たちの日常生活や職場において、どのような影響を与えるでしょうか?心理学などを中心に、EIの効果を示す研究結果が示さ
ウェルビーイングやエンゲージメントやその他の仕事のアウトカムを改善する介入方法が、ポジティブ心理学ではよく研究されています。今回は、Donalsonら(2019)による仕事のポジティブ心理学介入(PPIs=Positive Psychology Interventions)のメタ分析の結果についてお話ししたいと思います。なお、個人向けPPIsは、①自尊心介入、②感謝介入、③強み介入の3つです。 介入方法の種類Donaldsonらによれば、職場に対するポジティブ心理学の介入方
みなさんは日常のふとした瞬間に、過去のことを思い出して懐かしさを覚えたり、心が温かくなるような経験をしたことはありますか? 今回は、そんな「ノスタルジー」を感じることと、感謝やウェルビーイング(幸福感)との関係を調べた研究についてご紹介します。 ノスタルジーの効果ノスタルジーとは、過去の出来事や人々について思い出したり、過去の自分について思い出すこと通して、懐かしさや切なさを感じることを意味します。ノスタルジーは結婚や誕生日、同窓会などの社会的なイベントをきっかけに感じる
現在、ポジティブ心理学という研究分野を中心に、「感謝」と「ウェルビーイング」の関係性に焦点を当てた研究が増えています。 特に、アメリカを中心に「感謝の感じやすさ(感謝の気質)が高いほどウェルビーイングが高い」、「感謝をする介入をするとウェルビーイングが高まる」などの研究結果が報告されています。 しかし、上記のようなことを日本人に対して検証しても、なかなか同じようには再現されないことが指摘されています。その理由として、文化的背景が異なることなど、さまざまな要因の影響を受ける
感謝をすることには向社会行動(=社会のためになる行動)を促進する効果があると、心理学研究では言われています。 しかし、なぜ感謝をすることが社会のための行動につながるのか、明確な理由は明らかになっていません。Nelson et al. (2023) では、「感謝」と「負債感(恩義)」をきちんと分けて考えることで、向社会行動への効果を明らかにしようとしています。 「感謝」と「負債感(恩義)」これまでの感謝に関する研究の多くでは、「感謝」と「負債感(恩義)」はきちんと区別されて