NECソリューションイノベータ株式会社
ウェルビーイングに関連した研究の研究者による解説記事を集めています。ウェルビーイングをもう少し詳しく知りたい人に向けて、毎週金曜日に更新・追加していきます。
感謝の研究に関する記事をまとめています。記事は、スマホアプリNEC Thanks Cardに掲載した内容を修正して転載したものです。
徳倫理(virtue ethics)は、アリストテレスを起源の1つとする倫理学で、アリストテレス倫理学ではユーダイモニア(善き生、人間の幸福、人間の生の開花flourishing)を徳倫理の核心的概念と考える人もいます(村松, 2017)。一方、心理的ウェルビーイングはユーダイモニアを心理学的に定義した概念です。すなわち徳倫理と心理的ウェルビーイングは祖を同じくしています。そのため、徳倫理学での議論は、ウェルビーイングに関係する可能性があります。(心理的ウェルビーイングについ
みなさんは日常のなかで、芸術に触れることはあるでしょうか? 芸術やアートと聞くと、絵画や彫刻などをイメージするかもしれませんが、それらばかりではありません。音楽を聴いたり、絵を描いたり、小説を読んだり、もっと身近なものも芸術との関わりと言えるでしょう。 このような芸術との関わりは、私たちの心や身体にどのような影響を与えるでしょうか。近年の研究では、芸術との触れ合いが、単なる娯楽を超えて、私たちの健康やウェルビーイングに関連することが示されています。 本記事では、芸術を鑑
はじめにみなさんは働く上で何を重要視しているでしょうか。“勤務時間に対し十分な給与が得られる”、“休暇がとりやすい”、“希望した場所で働ける”などの「働きやすさ」はもちろんのこと、自分の仕事に対して感じる“やりがい”や“誇り”といった「働きがい」も重要に感じるのではないでしょうか。 ワーク・エンゲージメントの文脈で紹介されることの多い『仕事の要求度-資源モデル(JD-Rモデル)』では、「仕事の資源」と「個人の資源」がワーク・エンゲージメントを高め、ポジティブなアウトカムにつ
セルフ・コンパッション(self-compassion)は、主に自分への思いやりの心を意味し、2003年に提唱されて以来、20年で急速に研究が増えている研究テーマです。様々な研究によって、概念定義、測定方法、他の概念への効果が確立されつつあり、開発された心理療法は様々な場面への適用が試されています。それらの研究の中で、ウェルビーイングとの関連も明らかにされてきています。 今回は、セルフ・コンパッションの提唱者であるNeffが総論(Neff, 2023)として全体像をまとめて
みなさんは、ご自身の生活が今後良くなっていくと希望を抱くことは出来ているでしょうか? 内閣府による世論調査では、1968年から現在に至るまで「今後の家庭の生活は良くなっていく」と回答する人の割合は、大きく減少しています。特に、オイルショックやバブル崩壊のタイミングで割合は大きく低下しており、21世紀に突入して以来、基本的に10%を下回っています。 「生活が良くなっていく」という回答の割合が低迷している背景には、さまざまな要因があると考えることが出来そうですが、全体として、
はじめに本記事では、西洋的な近代合理主義から抜け落ちている概念を組み込んだ新たなウェルビーイング尺度として「主観的ウェルビーイング4類型尺度」をご紹介します。以前ご紹介した協調的幸福感とは異なる観点になりますので、ぜひご一読ください。 これまでの記事でご紹介してきたウェルビーイングに関する研究や尺度はほとんど欧米のもので、西洋的な思想に基づいていると考えられます。そのため、日本人にフィットするような幸福感を定義・測定するための新たなアプローチが試みられています。そんな試みの