NECソリューションイノベータ株式会社

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NECソリューションイノベータは、NECグループの社会価値創造をICT(情報通信技術)で担う国内最大規模のシステム・インテグレータです。研究開発部門が組織のウェルビーイングについて研究結果や最新トレンドを発信します。 問い合わせ note_necsi@nes.jp.nec.com

マガジン

  • ウェルビーイング研究

    ウェルビーイングに関連した研究の研究者による解説記事を集めています。ウェルビーイングをもう少し詳しく知りたい人に向けて、毎週金曜日に更新・追加していきます。

  • 感謝研究

    感謝の研究に関する記事をまとめています。記事は、スマホアプリNEC Thanks Cardに掲載した内容を修正して転載したものです。

リンク

最近の記事

サードプレイスとウェルビーイング | サードプレイスの利用がウェルビーイングを高める

みなさんは自宅や職場、学校などの他に、自分の居場所だと思えるような場所はありますか? 現代の社会において、多くの人々が日常生活における忙しさやストレスに直面しています。仕事や家庭における責任やタスクに追われ、自分自身をリフレッシュさせるための時間や場所が足りないと感じている人も多いのではないでしょうか? 自宅や職場、学校ではない「第3の居場所」は、「サードプレイス」と呼ばれ、近年、注目を集めています。このサードプレイスの概念は、都市計画や地域活性などを中心に議論され、最近

    • インターネットの普及とウェルビーイング

      はじめに日本において2021年のスマートフォンの個人保有割合は68.5%となっており、インターネット利用率は82.9%となっています。SNSの利用率も特に若い世代において高くなっています(図1)。 こういったなか、インターネットの利用がウェルビーイングに何らかの影響を及ぼすのではないかと懸念される方もいらっしゃるかもしれません。 以前こちらの記事で、「社会的比較」に関する研究をご紹介しました。SNSの利用目的や利用の仕方によっては、他人と自分を比べる社会的比較が生じやすく

      • 【基礎知識】ウェルビーイングと収入の関係|カーネマンの研究結果の反証と解釈

        直感的には、貧乏よりも裕福な方が幸せだと考えられるため、収入が多ければ多いほどウェルビーイングは高いと考えられます。もちろん、生活が困窮する収入よりは、生活に困らない程度の収入があった方が幸せなのは間違いないでしょう。 これに対し、Kahneman & Deaton (2010) は、ある一定上の収入を超えると幸せを感じにくくなっていくという有名な調査結果を示しました。この結果は、ウェルビーイングと収入の関係についての定説となっていきました。 しかしながら、近年では少し異

        • 健康と幸福感を高める自然との触れ合いとは?

          はじめに自然環境とウェルビーイングの関係について、こちらの記事でご紹介をしました。 今回ご紹介するのは、ウェルビーイングを高める自然環境との関わり合い方を具体的な自然体験として提示した論文です。自然体験が人の健康に必要なものであるということを示すエビデンスの一つであり、引用数も多い論文です。ウェルビーイングのみならず、環境教育や環境保全に興味がある方もぜひご一読ください。 自然環境は人の健康を増進するのか?人々が自然環境と触れ合うことは、健康に良い影響をもたらすと考えられて

        サードプレイスとウェルビーイング | サードプレイスの利用がウェルビーイングを高める

        マガジン

        • ウェルビーイング研究
          76本
        • 感謝研究
          45本

        記事

          食事とウェルビーイング | ウェルビーイングを高める食事とは?

          1990年代後半に提唱されたポジティブ心理学は幸福や満足感、強みなどに焦点を当て、人間の心理的な繁栄を目指した研究が推進されてきました。感謝やマインドフルネス、強みなど、さまざまなアプローチから、私たちのウェルビーイングを向上させるための介入方法が検討されてきました。 近年では、食に関する要因がウェルビーイングに高めるという新たなパターンが発見され、ポジティブ心理学領域において食品や食習慣などに着目した研究が増加しています。食事が身体的な健康だけでなく、精神的な側面において

          食事とウェルビーイング | ウェルビーイングを高める食事とは?

          【基礎知識】人間関係を構築・維持する方法|黙示録の四騎士とサウンド・リレーションシップ・ハウス理論

          PERMA理論やSPIRE理論の「R(relationship)」や、心理的ウェルビーイングの6要素の1つが「積極的な他者関係(positive relationship)」などから分かるように、ウェルビーイングには人間関係が欠かせません。(詳細は、以下の記事を参照してください) 今日、よく参照される人間関係の基盤的な研究の1つに、J. Gottmanの研究があります。Gottmanは、恋人同士や夫婦を対象にして、その関係性の変化(構築・維持・崩壊)を20年以上追跡調査して

          【基礎知識】人間関係を構築・維持する方法|黙示録の四騎士とサウンド・リレーションシップ・ハウス理論

          【論文紹介】高齢者のスポーツ観戦とウェルビーイング

          はじめに「スポーツ選手やアーティストを熱心に応援することで元気をもらえた」、「一緒に盛り上がる仲間がいることで充実感を感じた」、そんな経験をしたことはあるでしょうか? 近年、介護の現場での取り組みとして、地元のスポーツチームを応援するプログラムを取り入れることで、高齢者の活力を高めることができた、などというニュースを見かけることもあります。 日本ではそのような活動を「推し活」などと呼ぶこともありますが、実は海外でも同じような取り組みに注目が集まっているようです。 今回の記

          【論文紹介】高齢者のスポーツ観戦とウェルビーイング

          【論文紹介】職場でフィードバックを上手く活用するには - フィードバック研究の知見から考える

          職場において、「フィードバック」は大きな意味を持つコミュニケーションの一つと言えるでしょう。日常業務における会話から業績評価まで、フィードバックが行われる機会は多くあります。 上手にフィードバックすることが出来れば、上司と部下の間で信頼関係を築きつつ、部下のパフォーマンス向上が期待できます。部下も成長を感じながら、モチベーション高く仕事に取り組むことが出来るかもしれません。 一方で、「どう褒めたらいいか、どう注意したらいいか、分からない」「フィードバックしたが、あまり上手

          【論文紹介】職場でフィードバックを上手く活用するには - フィードバック研究の知見から考える

          謙虚さと心理的ウェルビーイング|謙虚さの定義、謙虚さと超越性と社会的活動の関係

          謙虚さがウェルビーイングと関係していることは、ポジティブ心理学の初期から研究されてきました(Seligman & Csikszentmihalyi, 2000)。また、最近は、力強いリーダーシップに対して、謙虚なリーダーシップも見直されています(Owns & Heckman, 2012)。しかし、謙虚さは必ずしもポジティブなものではないという考えも根強く残っています。 特に、社会的活動の文脈で批判されています(Bloomfield, 2020)。なぜなら、社会的活動には「率

          謙虚さと心理的ウェルビーイング|謙虚さの定義、謙虚さと超越性と社会的活動の関係

          “かわいさ”は人にどのような影響をもたらすか

          はじめに“電車で赤ちゃんと目があった時”や“スマートフォンで子猫の写真を見た時”など、かわいいものを見た時に思わず笑顔になったり、少し気分が良くなったという体験はありますか? そのような“かわいさ”に関する定義や体験について説明するベビースキーマ(baby schemaもしくはKindchenschema)と呼ばれる概念があります。今回はベビースキーマと幸福感の関係についてご紹介したいと思います。 ベビースキーマとは“かわいさ”に関する心理的研究は、ほとんどがベビースキーマ

          “かわいさ”は人にどのような影響をもたらすか

          Emotional Intelligence (EI・EQ) | リーダシップやウェルビーイングへの影響

          みなさんは「Emotional Intelligence (EIまたはEQ, 感情知能) 」という概念をご存じでしょうか? EIとは、簡単に言えば「自分や他者の感情状態を認識し、上手く活用する能力」のことです。EIの概念自体は20~30年前から提唱され、欧米のビジネスシーンを中心に活用が進められていますが、ここ数年でEIはさらに注目を集めています。 EIは、私たちの日常生活や職場において、どのような影響を与えるでしょうか?心理学などを中心に、EIの効果を示す研究結果が示さ

          Emotional Intelligence (EI・EQ) | リーダシップやウェルビーイングへの影響

          【論文紹介】職場でのポジティブ心理学介入|介入手法の整理とメタ分析の結果

          ウェルビーイングやエンゲージメントやその他の仕事のアウトカムを改善する介入方法が、ポジティブ心理学ではよく研究されています。今回は、Donalsonら(2019)による仕事のポジティブ心理学介入(PPIs=Positive Psychology Interventions)のメタ分析の結果についてお話ししたいと思います。なお、個人向けPPIsは、①自尊心介入、②感謝介入、③強み介入の3つです。 介入方法の種類Donaldsonらによれば、職場に対するポジティブ心理学の介入方

          【論文紹介】職場でのポジティブ心理学介入|介入手法の整理とメタ分析の結果

          【論文紹介】ノスタルジーを感じてウェルビーイングに -感謝感情による媒介効果

          みなさんは日常のふとした瞬間に、過去のことを思い出して懐かしさを覚えたり、心が温かくなるような経験をしたことはありますか? 今回は、そんな「ノスタルジー」を感じることと、感謝やウェルビーイング(幸福感)との関係を調べた研究についてご紹介します。 ノスタルジーの効果ノスタルジーとは、過去の出来事や人々について思い出したり、過去の自分について思い出すこと通して、懐かしさや切なさを感じることを意味します。ノスタルジーは結婚や誕生日、同窓会などの社会的なイベントをきっかけに感じる

          【論文紹介】ノスタルジーを感じてウェルビーイングに -感謝感情による媒介効果

          【論文紹介】日本人のウェルビーイングにおける感謝と自尊心 -感情体験と一日の評価

          現在、ポジティブ心理学という研究分野を中心に、「感謝」と「ウェルビーイング」の関係性に焦点を当てた研究が増えています。 特に、アメリカを中心に「感謝の感じやすさ(感謝の気質)が高いほどウェルビーイングが高い」、「感謝をする介入をするとウェルビーイングが高まる」などの研究結果が報告されています。 しかし、上記のようなことを日本人に対して検証しても、なかなか同じようには再現されないことが指摘されています。その理由として、文化的背景が異なることなど、さまざまな要因の影響を受ける

          【論文紹介】日本人のウェルビーイングにおける感謝と自尊心 -感情体験と一日の評価

          【論文紹介】感謝と負債感と向社会行動 -神への感謝と人への感謝

          感謝をすることには向社会行動(=社会のためになる行動)を促進する効果があると、心理学研究では言われています。 しかし、なぜ感謝をすることが社会のための行動につながるのか、明確な理由は明らかになっていません。Nelson et al. (2023) では、「感謝」と「負債感(恩義)」をきちんと分けて考えることで、向社会行動への効果を明らかにしようとしています。 「感謝」と「負債感(恩義)」これまでの感謝に関する研究の多くでは、「感謝」と「負債感(恩義)」はきちんと区別されて

          【論文紹介】感謝と負債感と向社会行動 -神への感謝と人への感謝

          【論文紹介】感謝は脅威を弱め、挑戦心を高める -生理学的反応から見る感謝の効果

          あなたは難しいタスクをしなければならないとき、「やってやろう!」と挑戦心に燃えるか、「失敗したらどうしよう…」と恐怖や脅威を感じてしまうか、どちらが多いでしょうか? どうせならば、挑戦心をもって取り組めると、気持ちも結果も良い方向に向かいそうですね。 今回は、そんな精神的にストレスのかかるタスクを行うときに、感謝にはどのような効果があるのか、生理学的な分析から検証した研究をご紹介しようと思います。 血圧のパターンから、挑戦意識と脅威意識を評価できるまずこの研究の背景に、

          【論文紹介】感謝は脅威を弱め、挑戦心を高める -生理学的反応から見る感謝の効果